外国人参政権にNO!

外国人参政権の問題については、民主党内でも様々な意見があるのは事実である。 私、『県会議員たきた孝徳はどの立場か?』とご質問を頂くことも結構多いので、この際外国人参政権に対する自らの立場を明らかにしておきたい。

 結論から言えば、私は外国人に参政権を付与することについては『地方参政権といえどもNO!』である。そもそも、『日本の政治への参加』を望むのであれば日本国籍を取得すべきと考える。以下、自分なりの理由をここに記してみたい。

 

  1.選挙権は納税の対価ではない。

 外国人参政権を求める根拠として、賛成派の方々の多くには、『外国人も納税しているのだから、選挙権があってしかるべき』だという主張がある。 また、この文脈で、「代表なければ課税なし」という言葉が引き合いに出されることもあると承知をしている。

 しかし、その主張にはどう考えても無理があるのではないか?

なぜなら、そもそも、現代の政治制度において、納税の対価は、『生活インフラ、治安などの行政サービス』であって選挙権ではない。納税の有無にかかわらず、全ての成人国民 が選挙権を得られることが、近代民主主義の基本的な理念である。

 

 おそらく多くの方々が『歴史の授業』で習ったと思うが、19世紀以降、納税額や財産と選挙権を切り離すことによって、普通選挙が実現してきている。この経過がある以上、納税と選挙権を結びつける主張は、この近代民主主義の大原則を否定した、前近代的な主張であると指摘せざるを得ない。

 

もし仮にこの主張が成り立つとすれば、『納税していない者は選挙権がなくてもいい』、という驚くべき結論を容認することになる。これは、『学生、低所得者、高齢者』の皆様の中で、仮に税金を払っていない人がいるとするなら『選挙権を与えない』という議論にもつながる、極めて『違和感ある』危険ともいうべき主張である。

 

 なお、そもそも「代表なければ課税なし」という言葉は、イギリス植民地の人々が、イギリス国民としての参政権がないことを批判したスローガンである。日本であれば、日本国民でありながら、海外に住んでいたら国政選挙権がないという状態への批判であり外国人参政権とは全く別次元の問題である事はここで指摘をしておきたい。

 

2.地方政治と国政は密接に関連している。

 『外国人に国政の参政権は認められないが、生活に密着した地方政治の参政権は認めてよいのではないか』、という意見もあるが、これも国益を考えた時には極めて甘い議論と考える。

 

日本における地方政治と国政は密接に関連しているケースが多々ある。例えば、多くの米軍基地を抱える沖縄県の例を考えればわかりやすいだろう。 普天間基地がある宜野湾市長選挙(平成24年2月)の結果は、わずか900票差。普天間基地の移設先とされる辺野古がある名護市長選挙(平成26年1月)の結果は4,155票差である。これが市議選ともなれば、選挙結果が、数十票、時には数票という僅差のこともある。

 

 こうした状況で、ある特定の意図を持った外国人が集中的に移住すれば、選挙結果を左右することも充分可能である。例えば中国などの外国政府が、国家の意思としてそうした移住を実行することも、その気になれば難しくはない。 万が一、沖縄でそうした候補が勝利し、日本からの「独立」や米軍基地の強制撤去を宣言するような事態になれば、大混乱となるだろう。

 

その他にも、例えば、『島根県議会が竹島は韓国領であるという決議をしたらどうなるか?』、『石垣市長が尖閣諸島は中国領であると表明したらどうなるか?』など、我が国の国益に反しかねない事態はいくらでも想定できる。

 このように、地方政治も、国益や安全保障に密接に関連している。一つの自治体の政策が、他の自治体や国政全体に影響を及ぼすことも多々ある 。したがって、地方政治だからといって外国人参政権を認めてよいことには絶対にならない。

 

 これは『机上の空論』でも『考えすぎ』でもない。実際に『数票差で当落が決定する』地方議会議員選挙を間近でみてきた地方議員の一人として、また自らの選挙において、一票の大切さを実感する地方議員の一人として、もし『外国人参政権が認められたなら』、『外国が日本の安全保障を左右する事ができる』というこの恐るべき事態が現実になると非常に危惧をしている。

 

3.海外でも外国人参政権を認めている国は少数である。

 賛成派の方々の中には、『外国人に地方参政権を認めている国は数多く、認めていない日本は遅れている』、といった主張をする人もいる。しかし、それは海外の制度を誤解した主張である。

 よく引き合いに出されるのはヨーロッパだが、確かにEU加盟国は、EU加盟国の国民に限って地方参政権を認めている場合が多い。また、イギリスをはじめとする英連邦諸国も、加盟国の国民に限定して外国人参政権を認めている場合があるとも承知をしている。

 しかし、このように、共同体や連邦内の国民に限って参政権を認めているのは、あくまでも『同じ共同体の中だから参政権を与える』のであって、『(どの国の)外国人でも参政権を与える』のとは根本的に異なっていることをしっかりと理解しなければならない。

 

 なお、北欧諸国など、一定期間の在住を条件として、どの国の国民に対しても地方参政権を認めている例も確かに存在する。 しかし、これらはあくまでも少数派の国であり、『海外でも外国人参政権が認められているので日本も認めるべきだ』、という主張には無理がある。 ちなみに、外国における『外国人の地方参政権の状況』は以下の通りである。

 アメリカ: 州レベルでは認めず。一部の市町村が独自に認めている。

 イギリス: EU加盟国、英連邦諸国、アイルランドのみ。

 ドイツ : EU加盟国のみ。

 フランス: EU加盟国のみ。

 北欧諸国: 2~3年以上の在住者に認めている。

 中国  : 認めていない。

 韓国  : 条件を満たした永住者のみ(投資額200万ドル以上など)。

 

4.他国との関係

日本において外国人参政権の獲得運動を行っている代表的な団体は、在日韓国人団体である「在日本大韓民国民団(民団)」である。 民団は、その綱領の第一に「我々は、大韓民国の国是具現を期する」と掲げている。つまり民団の構成員は、韓国の国益のために行動することが求められているのだ。

 よって、仮に韓国の国益と日本の国益が相反するケースが出た場合は韓国の国益を優先する行動をとることを求められる。 したがって、仮に民団の構成員が日本の参政権を得た場合には、「大韓民国の国是具現を期する」ための投票行動をとることになり、それが、時として『竹島の問題を含めた日本の国益』に反する結果になることは充分に想定しなければならない。

 

 そもそも私は、日本の政治は、国政であっても地方政治であっても、『日本の国益を常に意識し行われるべき』と考える。 しかし、他国の国益実現を堂々と掲げる在日外国人団体が存在するという現在の状況で、外国人参政権を付与した場合には、日本の国益に反する結果になることが充分に想定される 。 である以上、外国人に対して地方といえども参政権を付与する事はありえないだろう。

 

まとめ

 外国人参政権の問題は、突き詰めれば外国人という立場のままで、日本の政治に影響力を持つことを認めるか否かという問題となる。 日本に住んでいても日本国籍を取らず、母国の国籍のままでいる人は、母国の政府への忠誠心を持ち、母国の国益のために行動することもあり得る立場である。

 

もちろんそのこと自体は、何ら否定されることではないし否定もするつもりもない。 しかし、その立場のまま日本の政治に介入し影響力を行使したいというのは明らかにおかしいだろう。もし、政治に影響力を行使したいのなら、日本国籍を取るのが筋だ。

 

 一方、外国籍の人が日本国籍を取得した場合には、他の日本人と完全に同等の参政権を持つべきことは当然と考える。過去に外国籍だったからといって、政治への参加を差別すべきではない。

 

 現に日本の制度はそうなっており、日本国籍を取得した場合には、国政・地方政治を問わず完全な参政権(選挙権・被選挙権)が与えられている。(アメリカは出生時にアメリカ国籍を持たなければ大統領になれない。すなわち、後から国籍を取得しても大統領となる資格を得られない。)

 

 したがって、現在の制度は公平性や国益の観点からも極めてバランスが取れたものであり、我が国はこの制度を堅持すべきである。必要であれば、民主党かながわクラブ県議団としてもその主旨の意見書を国に出すべきである。

 

神奈川県議会議員 滝田孝徳