下小田中・職業技術校跡地に関する取り組みについて①

平成16年9月 本会議について

 問い合わせが多い、下小田中にある職業技術校跡地に関しての取り組みについて、過去にさかのぼり時々の状況を解説しつつ何回かに分け整理をしてみたいと思う。

 最初にこの問題について議会で取り上げたのは、平成16年9月での本会議だった。
 この時はまだ技術校が廃止になる事が決定をしただけであり、跡地の利用の在り方については全くの白紙状態だった。

 にもかかわらず、この段階で、何も答えがでない想定の中、なぜ本会議で取り上げたかと言えば、行政は多くの場合、意志決定に時間がかかる場合が多く、また一度決定された方針等を変更させるのは非常に困難であるという特徴を持つからである。

 である以上、物事が決定をされる前にこちら(地域)の考えをぶつけ、役所にその意見を検討する時間を与える必要があると考えた。

 まずは、本会議で松沢知事に質問をし、取り上げる事によって、地域の方々に『技術校が廃止』になる事を広く知ってもらう事とし、できうれば、地域全体として跡地に何を望むのかを考え『コンセンサス』をとって頂きたいとも考えた。

 特に早めに地域の『コンセンサス』をまとめてもらう事は非常に大切である。

 なぜなら、地域として、具体的には『地元の町内会』としての意見がまとまらなければ、役所に地域としての意見はないととられ、その間も『意見がない』事を前提に着々と『跡地の利用方』の検討が進められていく。

 また、良し悪しは別にして、いわゆる『地域の意見』が取り入れられる期間は限られており、その間までに地域でまとめた意見をぶつけられなければ、意見はないとされ後からそれを入れ込む事は不可能となるのが現実だ。

 この事を踏まえ、この問題を広く知って頂く事を第一の目的として質問をした。
 また、当時は今後の跡地の利活用については全くの白紙であったため、日頃より自分が問題意識を持っている保育所の整備、待機児童問題への解決のため、『県の土地を無償で市に貸し付け』保育所整備を推進していきたいとの思いを含めて質問をした。

その私の質問に対し、松沢知事は、

 県有施設の再編統合等に伴って生じる跡地の選定方法について述べ、第1に、県みずからの利用を目指す。2番目には地元市町村における公共的、公益的な活用を目指す。3番目に、そうした公的な活用が見込まれない場合は民間での活用すると述べた。

 また、公的な活用が期待できるものは、なるべくその方向が望ましいとの考えを示し、地元のご意見やご要望を把握している地元市と十分に調整を図り、できる限り柔軟な対応を図ってまいりたいと考えて行く旨を答弁した。

 ※ この質問後、すでに技術校が廃止になる旨を伝えてあった下小田中5丁目町内会に対して、今回の知事の答弁内容についてお知らせし、跡地利用については、どの形が望ましいと考えるか地域でのコンセンサスを取ってほしい旨を要請した。

以下に本会議での質疑の内容を記載しておきます。

(滝田)
 質問の第1は、待機児童問題と県有地の利活用について、特に高等職業技術校の跡地利用について、お伺いいたします。

 本県では、経済のグローバル化やサービス化の進展による産業構造の変化や、長引く景気低迷の中で、多様化・高度化する企業の人材ニーズや訓練受講生のニーズに的確にこたえた職業能力開発を実施するため、高等職業技術校等の再編整備を進めているわけであります。

 再編整備に当たりましては、公共・民間の役割分担と連携による職業能力開発の推進体制の構築や高等職業技術校の機能の充実強化などの基本的な考え方に従いまして、10校ある高等職業技術校を東西2校に再編統合する方針が既に示されております。
 振り返れば、高等職業技術校は労働者が職業に必要な技能及び知識を習得するという目的のもとに設置され、産業人材の育成、また、企業在職者の能力開発への支援など多くの成果を上げてきました。
 川崎市中原区下小田中にある川崎高等職業技術校を一例にとれば、昭和39年以来、数千名もの修了生を輩出し、工業技術分野の中核校として産業人材の育成に貢献してきました。平成14年度、15年度の入校生のうち4割近くは川崎市民であるというデータからもわかるように、その立地条件からも多くの川崎市民のために役立ってきたわけであります。
 また、体育館やグラウンドを地元スポーツ団体等に開放し、その利用者は年間約8,000名にも上るわけであります。

 政令指定都市は権能の点で県と同格の立場にあることから、県税を他の市町村の県民と同様に納税しながらも、県の施策の恩恵にあずかることが何かと少ない状況にある政令指定都市・川崎において、職業技術校は数少ない県の顔が見える施設として地域に親しまれてきたと同時に、川崎市の地域防災計画の中で、水道、医療面での他の地方自治体からの応援の活動拠点と指定されており、住民に対しましても安心感を与えてきたわけであります。

 そうした中、このたびの高等職業技術校の再編につきましては、ワンストップサービスの提供など、新しいコンセプトのもとに施策を展開する計画も含んでいることなどからも、今後の取り組みについて、私としても大いに注目していきたいと思っておりますが、地元住民の立場を代弁いたしますと、その跡地の利活用につきましては、その一部分でも技術校周辺の地域住民のニーズを加味し、川崎市とも積極的に連携し、地域の県民のための活用をぜひ検討していくべきだと考えているわけであります。

 と申しますのも、平成14年度決算で、県税収入の県全体の税収額に占める政令指定都市地域からの税収の割合は、横浜市が42.24%、川崎市が14.92%で、両市を合わせますと57.16%であります。約6割近くが政令指定都市からの税収となっているわけであります。また、県議会議員107名の定数のうち、56名は政令指定都市からの選出であります。

 半分以上の県税を納税し、また、多くの代表者を送り出しているにもかかわらず、私の印象といたしましては、県と同格の権能を有していることも関係していると思いますが、政令指定都市との積極的な連携の観点が、いささか足りないのではないかと感じております。
 また、受益と負担との関係で考えたときの政令指定都市の県民への行政サービスの提供が不足ぎみでないかと考えているからであります。私としては、高等職業技術校の再編整備に当たり、その発生する跡地の利活用のあり方につきましては、政令指定都市の地元住民のニーズを、地元の自治体を経由した上でということになるかとは思いますが、ぜひとも顕在化しにくい県民の方々の声も掌握した上で、無償貸し付けなども視野に入れつつ対処していただきたいと心底思っているわけであります。

 つまり、川崎高等職業技術校だけでなく、再編統合が決まりました川崎区の京浜校、横浜市鶴見区の鶴見校、西区の紅葉ケ丘校など、政令指定都市の地域に関しては、一部分でも両市に無償で貸し付け、地元のための跡地利用を考えることによって、政令指定都市に配慮した政策を展開する第一歩を踏み出していただきたいと思うわけであります。

 私の住みます中原区におきまして、地域の方々の声を聞きますと、若い世帯が比較的多いということもあり、行政への要望として多いのは、保育所をもっと設置していただけないかということであります。いわゆる待機児童問題であります。これは若い世帯の声なので、なかなか集団としての声になりにくく、情報としてはなかなか発信されません。
 こうした潜在的なニーズにつきましては、一義的には川崎市の対応になると思いますが、こうした課題についても、県行政として何ができるのか模索していくことが、私のような政令指定都市選出の県会議員としての使命ではないかと考えております。

 保育行政につきましては、政令指定都市は県と同格の立場にあることから、完全な縦割りになっていることは承知しているところであります。しかしながら、政令指定都市の地域でも待機児童問題は喫緊の課題として存在しており、地元自治体として、日々、業務に取り組まれていることは承知しておりますが、保育サービスの充実を待ち望んでいる政令指定都市の市民は、県税を納税している神奈川県民でもあるわけであります。
 ぜひ福祉関係の県当局におかれましては、政令指定都市の待機児童問題の取り組みについて、県として側面支援できることは何か、県側の窓口となりまして、他の部局との必要な調整に取り組んでいただくなど、積極的な取り組みを期待したいわけであります。

 そこで、知事にお伺いいたします。
 県全体の長の立場から見て、待機児童問題の現状について、とりわけ政令指定都市における保育所用地の確保の困難性などを含めて、どのような認識をお持ちか、ご所見をお伺いいたします。

 保育所の設置に当たりましては、さまざまな解決しなければならない課題があるかと思いますが、私は用地の確保がネックとなり、計画がうまく進まない現状があるのではないかと思っております。

 そこで、知事にお伺いいたします。
 県で未利用地が発生した場合に、どのような基本的な考え方で検討していくかにつきましては理解をしているつもりでありますが、私としては、高等職業技術校の跡地利用については、地元自治体、とりわけ政令指定都市にとって喫緊の課題である保育所設置などの問題があるわけですから、画一的に進めていくのではなく、地域のニーズを把握した地元自治体の意見・要望を十分に聞いた上で、公共的な活用が優先されるよう、県としても一層配慮していくべきと考えておりますが、知事はいかにお考えか、ご所見をお伺いいたします。

(松沢知事答弁)

滝田議員のご質問に順次お答えをいたします。

 初めに、保育所の入所待機児童の現状について、特に政令指定都市における用地確保の問題を含めて、認識のお尋ねがありました。
 平成16年4月1日現在の保育所の待機児童は、政令指定都市、中核市を除く県所管域で605名に対して、横浜市は1,190名、川崎市は755名となっております。傾向として、特に東京に近い大都市部で待機児童問題が深刻な現状にございます。

 このような中で、横浜、川崎両市におかれましては、認可保育所の新増設はもとより、横浜保育室や川崎市認定保育園などの独自の保育施策の展開によって、待機児童の解消に向けた取り組みが進められているところであります。

 とりわけ両市とも地価水準が高く、また、通園に便利な場所ではまとまった用地を確保しにくいといった状況がございます。こうした大都市特有の課題に対応するために、例えば保育所を設置しようとする法人に市有地を貸与したり、賃借方式による保育所の設置に補助を行うなど、さまざまな工夫を重ねられていると承知しております。
 県といたしましては、福祉分野における政令指定都市との役割分担を踏まえた上で、県社会福祉協議会の資金貸付事業への補助を行い、政令指定都市内で保育所整備を行う法人にも必要により、活用いただいているところであります。
 しかしながら、両市におきましては、著しい保育需要の増大に供給が追いつかない状況が続いており、現実的には、待機児童の抜本的解消という課題になかなかこたえ切れていない現状と認識をしております。

 次に、高等職業技術校の跡地の利活用に関するお尋ねがありました。
 お話にありましたように、県立高等職業技術校は現在10校ございますが、社会経済の変化に対応するため、指導スタッフと訓練設備を集中して、弾力的な訓練を行うことができる大規模総合校として再編統合して、東部及び西部方面に各1校ずつの計2校を配置することとしたところでございます。

 このような県有施設の再編統合等に伴って生じます跡地につきましては、まず第1に、県みずからの利用、次に、地元市町村における公共的、公益的な活用、そして三つ目に、そうした公的な活用が見込まれない場合は民間での活用を基本としておりまして、あわせて財源確保の観点からも慎重に利活用の検討を進めているところでございます。

 高等職業技術校は戦後の経済社会の発展に必要な職業訓練の場として、労働者の職業能力の開発や向上に大きな役割を果たし、長きにわたり数多くの神奈川の産業人材の育成と地域経済の発展に寄与してまいりました。また、議員のお話にもありましたように、地域に親しまれる施設として活用されてきたことも事実でございます。

 こうしたことから、統合後の利活用につきましても、公的な活用が期待できるものは、なるべくその方向が望ましいと考えているところでございます。今後、個別具体的に利活用を検討していくことになると思いますが、政令指定都市はもとより、地元のご意見やご要望を把握している地元市と十分に調整を図り、できる限り柔軟な対応を図ってまいりたいと考えております。