新城高校を中高一貫化 国際バカロレア校に

川崎から世界にはばたく人材を!
~ 新城高校を中高一貫化 エリート養成校・グローバル進学校(国際バカロレア校)に ~

 

1.グローバルな進学資格「国際バカロレア」とは何か?

 

 国際バカロレア(International Baccalaureate)は、スイスで開発され、世界各国で導入されている国際的な教育プログラムである。グローバル化が進展する中、世界で活躍できる人材は、英語が話せるだけでは十分ではなく、リーダーシップ能力、企画構想力、人間的な感性を兼ね備えていなければならない。国際バカロレアは、こうしたニーズに対応した教育プログラムとして、世界各国のエリート校で採用されている。

 国際バカロレアには、①就学前~小学生向け(PYP) 、②中学生向け(MYP) 、③高校生向け(DP) の3つの教育プログラムがあるが、高校生向けのDP課程を修了すると、世界各地の大学で入学資格として活用できる。特に、イギリス、カナダ、オーストラリアなどのトップ大学では、DPスコアと論文などの書類審査、面接のみで入学を許可する大学もあり、日本国内でも、国際バカロレアを活用した大学入試を行う大学が増えている。国際バカロレアは、世界に羽ばたくパスポートといってもよい資格なのだ。

 現在、世界140以上の国・地域に4,334校の国際バカロレア認定校があり、その数は増え続けている。日本国内の認定校は35校あるが、そのうち学校教育法上の1条校(フリースクール等ではない正規の学校)は、国公私立あわせて12校だけであり、神奈川県には1校もない 。なお、横浜市内で3校のインターナショナルスクールが認定されているが、いずれも1条校ではないため、日本の大学の一般入試には必ずしも対応していない。

政府は、グローバル化に対応した人材を育成するため、国際バカロレア認定校を2018年までに200校に増やす目標を立て、国として支援する姿勢を示している。こうした状況を追い風として、川崎市内にも、国内・海外どちらの大学進学にも対応できる、国際バカロレア認定を受けた「グローバル進学校」を創設すべきである。特に、家庭の経済状況に関わらず進学が可能となるよう、公立の認定校が必要だと考える。

 

2.国際バカロレア認定校の事例

 

 東京都内には、1条校の国際バカロレア認定校が3校ある(国公私立各1校)。このうち玉川学園中学部・高等部(私立)は2010年からDPコースの認定を受けており、東京学芸大学附属国際中等教育学校(国立)と東京都立国際高等学校(公立)は来年度からDPコースが始まる予定である。

 DPコースでは、1クラス15~25人という少人数で、きめ細かい教育が行われる。国語などを除く全ての授業が英語で行われ、一般クラスより授業時数も宿題も多いため、生徒はかなりハードな生活となる。そのかわり、学校の授業や課題で全てが完結するため、塾に行く余裕もなければ、行く必要もない。こうした課程を修了し、高校3年の11月に行われる世界共通の最終試験に合格すると、晴れてDP資格を得ることができる。単なる受験勉強ではなく、「多様な文化の理解と尊重の精神」や「探求心、知識、思いやり」を重視した「全人教育」が国際バカロレアの特徴なのだ。

 こうして鍛えられた国際バカロレア修了生は世界で高く評価されている。イギリス(オックスフォード大学、ケンブリッジ大学など)、アメリカ(ハーバード大学、ボストン大学など)をはじめ、世界のトップ大学の入試で国際バカロレアの習得は有利に評価される。国内でも、東京大学、早稲田大学、慶応義塾大学などの名門校で推薦入試・AO入試に活用されており、「国際バカロレア特別入試」を行っている大学もある。

 

3.神奈川県の取組

 

 神奈川県では、平成28年年度から「県立高校改革実施計画」に基づいて、学力向上や理数教育、グローバル教育など、特色ある高校教育改革を行う予定である。その中で、横浜国際高校を「国際バカロレア認定推進校」に指定し、平成31年度の1期生入学を目指した環境整備を行う予定となっている。

 その他にも、リーダー人材の育成を目指す「学力向上進学重点校」、グローバル人材の育成を目指す「グローバル教育研究推進校」などが指定されることになっている。しかし、学力向上進学重点校は、横浜市7校に対し川崎市は1校のみ(多摩高校が候補)、グローバル教育研究推進校は、横浜市2校に対し川崎市はゼロである。これではあまりにも、川崎市が冷遇されている。

 

4.県会議員 たきた孝徳の提案

 

 現在の県の計画では、残念ながら川崎市内においてグローバル教育を行うエリート養成校は設置されない。そこで、私は新城高校を中高一貫のエリート養成校として、既存の課程に加えて国際バカロレアコースを設けるようにすべきと考え、以下のような方策を提案したいと思う。

 

① 新城高校を中高一貫のエリート養成校化すべき

新城高校に付属中学校を併設し、中高一貫のエリート養成校を作る。そこには、国内トップ大学を目指した「国内進学コース」の他、世界のトップ大学への進学を視野に入れた「国際バカロレアコース」を設置する。特に高校部は、イギリスのエリート校(例えば、ウィリアム王子やヘンリー王子が卒業したイートン校、チャーチルが卒業したハーロー校など)のように全寮制とし、授業以外もきめ細かくフォローした全人教育を行う。ただし、家族で過ごす時間も大切にするため、週末は帰宅できるようにする。

 

②国際バカロレアコース専任教師を独自採用すべき

国際バカロレアは、教える側の教師にも、英語で高度な授業ができる技能が求められる。そのため、国際バカロレア機構(国際バカロレアの主催者)の研修を受けた人材しか教師になることができない。そこで、通常の県立高校の人事異動ではなく、別枠で専門の人材(外国人を含む)を独自に採用すべきである。

 

②特別枠で予算を確保

優秀な教師を採用するためには、当然ながら予算が必要となる。したがって、通常の県立学校予算と区別して、県が重点的に予算を確保する特別枠を作ることを提案したい。具体的には、新城高校と横浜国際高校の2校を特別枠の予算とし、教師の採用、施設の整備、生徒の学習支援などに他校より重点的に予算を配分すべきである。

 

③少人数で行き届いた教育をすべき

新城高校の「国際バカロレアコース」は、先に紹介した先行事例と同様、20人前後の少人数学級で行う。また、「国内進学コース」も、習熟度別など少人数の教育を取り入れた手厚い指導を行う。

さらに「国際バカロレアコース」では、海外の学校と提携した留学制度、国際機関でのインターンシップなど、中学生・高校生のうちから高度な国際経験を積む機会を作るとともに、県教育委員会の責任において(通常は各学校の責任である)国内大学の指定校推薦枠を強化するなど、国内の一流大学にもスムーズに進学できる体制を作っていく。

 

⑤進路変更にも柔軟に対応すべき

 「国際バカロレアコース」は相当厳しい教育となるので、必ずしも全ての生徒に合うわけではない。仮に国際バカロレアの教育に適性がないことが明確になった生徒が出た場合、本人の意向を十分にヒアリングしたうえで「国内進学コース」への編入や他の県立高校への転学も可能とする仕組みを、あらかじめ作っておく。これは他の国際バカロレア認定校にはない特色である。

 

⑥グローバル教育推進条例(仮称)の制定

こうした高度な教育を継続的に実施するため、「グローバル教育推進条例」(仮称)を制定して、予算の確保や各種の支援措置を県に義務付ける。当初は、新城高校と横浜国際高校の2校を対象とするが、将来的にはその2校で培ったノウハウを活用して、グローバルな人材育成を他校にも広げていくことを目指すべきである。

 

【参考文献】(クリックで別窓でリンクが開きます)

・文部科学省「国際バカロレア認定のための手引き」(平成27年9月) ・神奈川県「県立高校改革実施計画(Ⅰ期)」(案)(平成27年12月) ・文部科学省ホームページ:国際バカロレアについて

・国際バカロレア機構ホームページ

・玉川学園中等部・高等部ホームページ

・東京学芸大附属国際中等教育学校ホームページ

・東京都立国際高校ホームページ