2016年12月に行われた、かながわ民進党神奈川県議会議員団代表質問質問の「ともに生きる社会を実現する政策について」部分については、県議団政調会長である長友県会議員、質問者である曽我部県会議員とも連携しながら県議団の団長として、原稿作成担当者としてかかわらせて頂いた。
以下その内容と知事答弁要旨についてここに報告をしたい。
考え方のベースとなっているのは、このホームページ政治見解欄に2016年11月30日にアップさせて頂いた『障がい者差別解消条例(共生条例)を制定しよう』でありますので、皆様におかれましては是非一度ご覧になって頂ければと思う。
そこにおいて、私は今回の事件を踏まえて障がい者差別をなくすための条例を制定し、条例に『障がい者であることを理由とする不当な差別的言動の解消条項』を規定すべきと提案した。
また、実効性をたかめていくために条例に知事による『調査権』を付与することや『助言』や『あっせん』の規定や調査に協力しない場合の罰則を規定し悪質な場合には氏名公表をする制度設計を提案した。
今回の質問においては『知事に条例制定についての是非』を『あえて』聞いていない。
その前段である『差別的言動をなくすことの必要性』と『実効性の大切さ』について知事との認識の共有を目指したものである。
結果として、私たち県議団の『差別的な言動を なくしていくという、視点を、明確に打ち出す必要 がある』という指摘に対して、
知事は『差別的な言動をなくしていくことを県として明確に打ち出す必要があると認識しています』と答弁した。
また、私たちの『実効性のある取組 を行うことが、必要と考えるが』という指摘に対して、
知事は『実効性のある取組みを講じていくことが大切である』と答弁した。
この部分で認識の一致が図れた事は大きな成果だと考えている。
私、ならびに私たち県議団はまさに知事との間で『今回一致した認識』を実現していくためには条例を制定する必要があると考えている。
認識が一致した。ではどうやって実現するの?という段階に入る。
すなわち、
私、ならびに私たち県議団は『条例制定』が『知事との間で一致した認識を現実化する方法』だよね!という考え。
それに対して県もそう思っているのか?条例制定以外の別のやり方を考えているのか?という議論に入っていくと思います。
今後もしっかりと取り組んでまいります。
以下、代表質問・知事答弁要旨(正確な議事録でなくあくまでも要旨です)ご覧下さい。
第二番目の柱は、「ともに生きる社会を実現する政策について」です。
まずは、「共生社会の実現に向けて」お伺いします。
先般の津久井やまゆり園事件について、知事は、「障がい者は世の中からいなくなった方がいい」という、とんでもない考えに基づいた事件であった旨、記者会見 や「かなちゃんTV」などで、再三述べられています。
さらに、文藝春秋11月号で「テロ」であるとの見解を示し、その後の、10月12日の記者会見では、こうした考えに共感ないし共鳴している人が、出てきていることに、驚愕され、これこそ、未然に防がなければならない、そのための方策を考えていかなければならない、と述べられました。
最も大切なのは、知事の言うところの「間違った、とんでもない考え」を持たないような社会環境の醸成と、それに向けた教育の充実であります。
しかし、残念ながら、このような考えを発信する人がいるから、共感・共鳴する人がいるのも事実であって、これについては、発信自体を、できないようにすべき、との声もありますが、表現の自由という憲法上の問題もあり、限りなくハードルが高いことはいうまでもありません。
そうだとしても、県として、障がい者に対する、差別的言動を許さず、なくしていくことを 目標として 明確に打ち出すことはできるはずです。
こうした言動を許さない、という考え方を、広く社会に発信することによって、障がい者への、差別的言動を許さない 社会環境を作っていくことも できるはずなのです。
少なくとも、これらのことを行うことにより、知事が言うところの「とんでもない考え」に共感・共鳴する人を 少なくすることができるものと考えます。
また、こうした障がい者への差別的言動は、障がい者のみならず、その家族の心に対する ダメージも 大きいと思います。
事件が起きた、本県だからこそ、このような多くの人々を傷つけ、社会通念上も、許容できない、差別的言動 をなくしていく、社会を目指すことを大きく掲げ、全国に発信するという、『全国の模範となる先進的な取組 が求められている』のであります。
先に議決した「ともに生きる 社会 かながわ 憲章」にも、こうした、差別的言動を許さない、という趣旨は含まれていますが、この点について、県は、政策の視点として、明確に記述をしていません。
また、県では、様々な取組を掲げておりますが、差別の実情を、常に把握し、差別をなくすための、実効性ある取組が、行われているかどうかということについては、まだまだ 行うべきことはあるのではないか とも考えます。
そこで知事に伺います。
今回の事件を踏まえると、共生社会の実現に向けて、障がい者の方々に対する、差別的な言動を なくしていくという、視点を、明確に打ち出す必要 があると考えますが、見解を伺います。また、障がい者への 差別の現状について、常時把握できる取組と、障がい者への差別をなくすための、実効性のある取組 を行うことが、必要と考えますが、併せて見解を伺います。
【答弁】
ともに生きる社会を実現する政策について、何点かお尋ねがありました。
まず、共生社会の実現に向けてです。
まず、差別的な言動をなくしていくという視点を明確に打ち出すことについてです。
議員お話しのとおり、津久井やまゆり園の事件後、障がい者に対する差別的思想に同調する意見が散見されるなど、私としても、社会の中で障がい者に対する差別や偏見が広がるのではないかと、非常に危機感を抱いています。
ともに生きる社会かながわを実現するために、こうした差別的な言動が行われない環境を社会全体で醸成していくことが重要であり、そのためにも差別的な言動をなくしていくことを県として明確に打ち出す必要があると認識しています。
そこで、ともに生きる社会の実現に向けて、障がいのあるご本人やご家族からご意見をお聞きし、具体的な方策を検討するなかで、差別的な言動をなくすことについてどのようなことができるか、検討してまいります。
次に、差別の現状について常に把握できる取組みと、差別をなくすための実効性のある取組みの必要性についてです。
私は、障がい者差別をなくしていくためには、実際にどのような差別的取扱い等が発生しているのか、常にしっかりと把握し、それに対して実効性のある取組みを講じていくことが大切であると考えています。
そこで、県では、これまで、障がい者団体等に対して、実際に差別を体験した事例について、アンケート調査等を実施するとともに、本年4月には、民間事業者による差別的行為に関する相談体制を整備し、差別の状況把握に努めています。
今後、本年8月に設置した「障害者差別解消支援地域協議会」において、関係機関との相談事例を共有するとともに、合理的配慮の具体例や紛争解決に至った事例を検討することによって、今後の紛争の防止や解決につなげるなど、差別をなくすための実効性のある取組みを進めてまいります。